
悪、危険、テロ。中東と聞くと頭に浮かぶ言葉はこんなところ。基本ヒゲ面がそう連想させるのか、日々流れるニュースの映像からか。いずれにしても完全ワルのイメージが先行。どれだけ追い込まれるか行く前から期待大。しかし、その実態は溢れんばかりのホスピタリティー精神で満ち溢れたもてなし上手なアラブ人。何処まで行ったら期待通りに騙すのか。何で何も起きないのか?検証します。
【検証その1.】トルコ・イスタンブール発~トルコ人セレブ~
サッカー観戦から帰って来ると、見覚えのある2人が道端でトルコ人男性と親しげに談話中。同じ宿に泊まっているネーさんとケンちゃんだ。曰く、バーで会った人が飲み代を全て払ってくれ、クラブに行こうと誘われたらしい。おまえも来いと手招きジャスチャーで誘うおさーん。過去の経験からこのパターンは危険。まーこっちは3人だしとタクシーに乗り込んだ。30分後クラブの前で停車。財布に手をかけると「ノンノンノン」とジェスチャー。彼はスマートにタクシー代を払い店内へ。とりあえず乾杯。俺はここにいるから、お前らはフロアで踊って来いと手で促すオサーン。椅子に腰掛け怪しげに微笑む。間違いなく騙されると確信。 笑いながらエアーグラスをクイッとし「もっと飲め!」と言わんばかり悪代官状態。次々と酒が運ばれてくる。 ここでネーさんが突然ダウン。「やられた!睡眠薬パターンだ!」と思ったらただの悪酔い。駆け寄り介抱を始めたトルコ人。「そうかセクハラパターンか」そんな期待をよそに紳士的な対応でソファーで寝かせるミスタージェントルマン。 しかーし、ウエイターが会計を持って来た時、親父の怒号がフロアに響いた。ついにきた!ぼったくりバーパターン。「高額な請求は払えん!おまえらが払え!」と怒鳴ってるのかと思ったら。 エアーグラスのジャスチャーを繰り返す。「おまえら飲みがたりん!もっと飲め!」だったらしい。しかも、すっかりおかんむり。特にその矛先は即死したまま蘇生しないネーさんに。 怒りの収まらない彼は店を出て行ってしまう。あーやられた結局飲み代を払わないと。 しかし大方の予想を反し「お会計は全て支払ってあります」とウエイター。店を出るとおっさんはタクシーを呼んで待っているじゃないの。車内ではまだネーさんだけを叱咤する彼であったが、宿まで私たちを送るとそのままタクシーで夜の帳の中に消えていった。
【検証その2.】シリア・ダマスカス発~完全追いはぎ編~
シリアの首都ダマスカス。宿で会ったヒロシと街を徘徊してると、薄暗く何とも怪しい裏道に迷い込んだ。ギョロリとした目だけが暗闇の中、不気味に浮かび上がる。人混みとジトッとした空気に酔った私は少し気分が悪くなった。「少し休みましょう」気を利かせたヒロシが見つけたのは地元民で賑うローカル食堂。ちょうど夕食時という事もあり超満員。にも関わらず異常な程の静けさだ。店の奥にある巨大な鍋からグツグツという何かが煮えたぎった音だけが聞こえてくる。
「ヒロシ、ここ本当に大丈夫か?」「大丈夫ですよ。とりあえず座りましょう。」椅子に腰をかけた瞬間、四方八方から刺すような視線を感じた。「何か食べますか。ハロー」何も注文しないのも悪いのでヒロシは店の親父を呼んだ。忙しいのかこっちに来る気配はなし。メニューも無い。そこで1人の青年が話しかけてきた「何が食べたいんだ?」周りの人が食べているもの指差すと彼はテキパキと注文。
運ばれてきた料理は何の肉だか知らないが黒光りしている。「あの鍋から出してきてましたよ。何か注文した物と違くないすか。薬でも入れられているんじゃ、、大丈夫すかね」恐る恐るヒロシは一口食べてみた。
「うー・まー・いー・ぞぉぉぉぉっつ!!」とまさかの反応。ビビリながら私も口にしてみた。
「うー・まー・いー・ぞぉぉぉぉっつ!! 得たいの知れない肉にトマトとバジルと何かの草が絶妙に絡み合い,
グルタミン酸が五臓六腑にしみわたるー。まるで旨みの総合デパートや~」

食べるのに夢中になり過ぎて、ふと横を見ると注文してくれた青年はいつの間にか席を立っていた。 シリアやるなーと大満足で会計に行くと「支払いは済んでいる」と店の親父。何とあの青年が払い済み。お礼を言わなくちゃと彼を探しに行くと近くの店で発見。お金を渡そうとしたが彼は頑なに受け取らない。「ここはシリアだから。自分が日本に行く事あったらご馳走してくれよ。」男前過ぎるぜ。ここのチャイだけでも払わせてくれと懇願したが、私達の分までまたも支払っていて頂きただの追いはぎ状態に。
【検証その3.】エジプト・カイロ発~国会議員パーティー~
砂漠ツアーが終わり宿でチャイをすすっているとマスターが我々3人にエジプシャンネームを付けはじめた。女子2人はエジプトっぽい名前をゲット。「俺は?」と聞くと「おまえはハマーダ」「ナゼ浜田?嫌だ」と拒否したが棄却。 夕方、首都カイロに戻るミニバスに乗り込む。エジプトの親父で超満員。そして恐ろしい程の静けさだ。1時間ほど車は走り1人の親父が沈黙を破る。低くドスの利いた声で「どっから来た?名前は?」素っ気なく「日本から。浜田です」と答えると突然こちらを振り返り、ギョロリと目をひん剥き「ハマダ?」と聞き返してきた。 今度は全員が振り返り「ハマダ?」「ハマーダ?」「浜田?」と大合唱のお祭り状態。 「今日、カイロで国会議員のパーティーがあるから来なさい。ご馳走もある。もちろん全部フリーだよ」とまさかのご招待。謎の展開にアワアワしてるといつの間にかパーティー会場行きにバスは早変わり。これは名付けた親父もグルのワッショイ詐欺なのだろうか。ほぼ拉致状態で会場内へ。中は100人くらいのエジプト人で埋め尽くされている。どこか知らない国にでも売り飛ばされるのだろうか。引率した親父が「日本のハマーダ」と紹介すると会場はまたも大騒ぎ。しかも「俺もハマーダ」と俺も俺ものダチョウ倶楽部状態に。ハマーダだれけじゃない。俺は浜田じゃないけど。挨拶もそこそこに豪華な食事が運ばれ舌鼓。今度は会場がザワツキ始めた。どうやら本日の主役、国家議員がご登場。 私に気が付いた彼はこちらに寄って来た。「君は?」「日本から来た浜田です」「お互いがんばろう」と固い握手を交わす。どうやら私にも浜田としての自覚が芽生えた様です。

【まとめ】
アラブ人というと悪いイメージが強い。しかし、実際そこで体験し思ったのは皆さん本当にジェントルメン。アジアやインド辺りで道でも聞こうならすぐにバクシーシ。タクシーやバス会社とグルだったりするのに。完全にやられたと思ったところでのジェントルメン。ボディータッチをしてくる輩は別にして。まだまだ旅行者が珍しいからでしょうか。是非トラブルに会ってみたい方は20年後くらいに行くことをお勧めします。アラブでは起こりそうで起こらない。
※会話は全て想像です。